2019年2月28日木曜日

児発管探し②

【1年生・2017・6月】

電話をいただいた翌日に喫茶店でお会いしました。
兎にも角にもはじめましてなので、自分が何者で今はどんな仕事をしていて、
なぜ施設を初めたいのか、そしてことらのことを話しました。
その方はとても親身に聞いてくださいました。その聞いていただく姿勢に、
とても安心感を覚えました。

攻守交代して、今度はその方が経歴をお話くださいました。
2年前まで小学校の校長先生をされて、その後一宮市の教育センターの起ち上げから
従事される。教育センターでは保育園と小学校の架け橋になられて、
一宮市の保育園53園全て廻っている。
保育園と小学校では管轄も違うので連携が全くうまくいっていないのが現状。
大人の都合で子どもたちにしわ寄せがいっている。
特に発達に特性がある子どもたちは小学校へ入ってから不安定になる。
そんな時に親や子、小学校をフォローしている。
そして、教育センターに親さんの相談を受ける場所をつくって受けている。
不登校の相談もあり、年々相談件数も増えている。
お母さんたちには、どこの小学校とか、中学校とかではなく、大切なのは就労だと伝えている。

こどもの障がいは障がいだと思っていない。こどもたちの特性だと思っている。

特性を伸ばせば個性になる。
素直に育つことが一番大切だと思っている。
奥様も先生をされていて、特別支援教育士の資格もお持ちである。
娘さんが国際結婚をされてお子さんもあり、インクルーシブが大切だと感じている。

聞けば聞くほど素晴らしいお考え、行動力でこんな方が一宮市にいたのだとびっくり
するとともに、喜びと安心感がでました。
しかも全く驕りがありません。
教育センターを起ち上げて、まず初めに自分の今までの知識を捨てて一から学び直した
とおっしゃってました。本も年間に240冊読んでいるとのこと。
こんな方が児発管だったら、素晴らしい施設になるだろうなと思いながら、
さすがに難しいかなとも思ってきました。

でも、少しお考えいただけないかなと思っていたら、なんと
その場でやりますとおっしゃっていただきました。
正直、こちらがびっくりしました。
起ち上げだというのが嬉しいとおっしゃってくださいました。
途中からだと最初の形があるのでやりにくいと。
僕はこの話を聞き、素晴らしいお考えと行動力に裏打ちされた強い決断力があると感じました。

人が決断できない時は何か不安要素があるからです。不安だからです。
今回の僕の話しなんかは不安要素だらけです。場所も何もきまっていないわけですから。
何があっても自分ならなんとかできるという行動力からくる決断だと思いました。

これが僕のメンター、雨田さんとの出会いでした。

2019年2月25日月曜日

児発管探し①

【1年生・2017・6月】

僕が児童通所施設を始めるにあたって、一番苦労したのは児発管探しでした。
それはそうですよね。施設を初めたいと思っているが、まだ場所も決まっていない。
時期も来年の春頃にというだけ。
なんせ、僕に施設運営の経験もなければ、ことらを育てた以外支援の経験がない。
それに2018年の4月から法改正があり、児発管の要件も厳しくなるので、ただ資格が
あるだけではなれない。
そして、一宮に通える方でなければいけない。
僕の知り合いにはいないので、友人知人の知り合いでいないかと多方面に声はかけましたが
なかなか返答もありませんでした。
ただ、時間だけが過ぎていく中、昔からの友人の父が一宮教育界のドンであったことを
思い出し、相談にいきました。
この友人の弟とも昔から親交があり、一緒にゴルフ、バスケ、麻雀などもやる仲でしたが、
ことらのいずみ学園入学前の見学会でいずみ学園に行った時に、彼がいたのにびっくり
しました。彼の娘さんがダウン症だったのです。しばらく会っていなかったので、
僕も知りませんでしたし、かれも僕の息子が自閉症だとは知りませんでした。
お互いその見学会で初めて知りましたが、なかなかこういうことを話せる友人も少なかった
ので、心強かったです。
つまり、その娘さんのおじいちゃんにあたるわけで、親身に僕の相談を聞いてくださいました。
そして、そういうことなら適任がいると、早速ご紹介してくださいました。
連絡先を聞き、早速連絡しようと思った矢先に先方から連絡をいただきました。
そして、早速次の日に会うことになりました。

2019年2月21日木曜日

絵カード

【1年生・2017・6月】

この頃のことらはほとんど言葉がでていませんでした。
早い段階から絵カードの導入をすすめられることもありましたが、あまり早くから
絵カードばかりに頼ると言葉を話そうという意欲が減るというのも聞いたことがあり、
家での導入に躊躇していました。
でも、だんだんとことらの要求が強くなってきたこと、好きなこと嫌いなことがわりと
はっきりしてきたので、STの先生にことらの欲求がよくあるものを絵カードにすると
良いよと言われ、作ってみました。


ちょうど学校でも絵カードで要求を伝えることを初めていたようで、ことらにはとても
良いタイミングでした。
学校と家とで同じ支援をしていくことはとても大切です。
学校と家とデイサービスでそれぞれ全く違う支援をしていては、こどもは伸びないし、
困惑してしまいます。
この連携はとても大切だと思います。

食べることが大好きなことらは好きな食べ物を伝えてきます。
せっかくことらが絵カードで気持ちを伝えてきたのに、今日はなしだよとか、明日ねが
続くと、なんだよ伝えてもダメじゃないかと思ってしまうかもしれないので、少し
絵カードの種類を増やしました。


食べ物ばかり(笑)
言葉がでていないことらですが、要求を伝える時は言葉もこちらから伝えました。
たまごやきを出してきたら、「たまごやき」ねと。
いつか言葉でのコミュニケーションが取れるようになる日がくるといいなと思いました。

2019年2月20日水曜日

野生児

【1年生・2017・6月】

ことらの大好きな138タワーパークへお出かけ。
前回、一瞬の隙きをついてことらが全裸で水遊びだったので、今回は気を抜かずに
見守ります。
今回は大好物のふわふわドームもそこそこにどこかに行こうとするので、ついて行くと
パークの外に歩いていくので、一緒に散歩することに。
突然気になったのか、どこかから奥が見えたのか。
しばらく歩くと、見張り台みたいな鉄塔を発見。
登ってみました。


意外と高い塔で登るのも疲れましたが、なかなかの見晴らし。
しばらく眺めました。


そこから何か見えたのか、次のスポットへ移動。
木曽川じゃないといいなぁ〜と思いながらドキドキします。
でもやっぱり川の方へ。
途中草がすごく伸び放題の場所があり、自然大好きことらは興奮。
野生児にはたまらないご様子。


ついにお目当ての河原に到着。
なるべく広い川の方へは行かないように見守りながら。


広い川に飛び込まないかと心配はありますが、他に誰もいないので親としては気が楽。
石を投げて水しぶきを楽しんだり、バシャバシャ走ったり。
たまにはこんなゆったりした時間もいいなぁと感じました。

帰りは恒例のおんぶでした。。

2019年2月19日火曜日

チョコレートは向いている

【1年生・2017・6月】
友人からチョコレートを作る就労支援施設があって、そこの代表の講演会があるから
いかない?と誘われ行ってきました。
最近ではテレビなどでも名前を聞くようになってきた「久遠チョコレート」


ここの代表の夏目さんいわく、チョコレート作りは障害を持った方に向いているとの話でした。
自分のペースで作れるし、もし失敗しても溶かしてまた作り直せる。
もともとはパンを作っていたそうですが、チョコのほうが向いていると言っていました。
また夏目さんはこうも言っていました。障害を持った方が作ったものだから買ってもらえる、
それでは意味がないと。
障害を持った方が作ったと走らずに普通に買いたい、食べたいと思う商品を作る。
なので、豊橋の本店には就労支援施設とか、障害を持った方が作っているとかは一切うたって
いないそうです。
そこでちゃんと利益をだして、働いている人たちに還元する。
久遠チョコレートさんは就労支援施設のA型とB型と運営されているそうですが、どちらも
全国平均の賃金より高いとおっしゃってました。

また、この時夏目さんが注目していたのが医療的ケア児です。
医療的ケア児はいけるところも少なく、母親はなかなか働くこともできず、約9割の親さんは
睡眠不足に悩まされているとのことでした。
睡眠不足の解消も大切だが、久遠チョコレートはその先の社会つくりを目指している。
「誰もが社会に参加できる」「誰もが社会の中で輝ける」そんな社会を作る。
その頃新しく作った店舗は1階が店舗、2階に医療的ケア児の預かり施設を作ったそうです。
医療的ケア児の母親が2階に預けながら久遠チョコレートで働ける環境を整えたんです。

他のB型施設、作業所で聞いた話では、今は昔のように仕事がなくなった。お願いして
お願いしてやっと仕事がもらえるくらいだと。
これからは仕事をもらうのではなく、仕事を創造していくことが大切なのかもしれない。
そこに初めて社会参画が始まるのかもしれません。

2019年2月13日水曜日

本は栄養

【1年生・2017・5月】

この頃に出会った本を数冊紹介します。
まずはこれ、「ひまわりのかっちゃん」。
たまたまラジオでこの本が舞台化されるか、映画化されるかと聞き原作を読んできました。
ひらがなもまともに書けなかったかっちゃんが、5年生の時に出会った先生のあふれんばかり
の愛情と創意工夫で一気に成長していくさまを描いたノンフィクション。
やっぱり人は人でしか磨かれないんだなぁと痛感した一冊です。


二冊目はこれ。
立場や生き方も違う父親14人。共通点は発達障害のある子の父親だということ。
支援者、報道関係者、会社員から元国会議員までみなさんそれぞれの思いや、
関わり方があるんだととても感銘を受けました。
そうそうと共感するとともに、活躍しているお父さん方に背中を押された気がしました。
父親に焦点をあてた本が少ない中、発達障害の子を持つお父さんや、支援者の
方にも読んでいただきたい一冊です。


ちょうどこの時40歳だった自分にとって、タイトルと子どもが3人いて長男が自閉症という作者の環境に身近さを感じ読んでみました。
しかも、作者の佐々木さんの奥様はうつ病になったそうです。
それからは仕事をしながら子育て、家事、看病をしながら東レの取締役にまでなったの
ですから、並の努力ではないと思います。
書いてあることはシンプルですが、言うは易く行うは難し。
環境を言い訳にせず、創意工夫で乗り越える。ちょうど環境が大きく変わる時期だった
自分には大きな衝撃でした。




2019年2月11日月曜日

発達障害の3人 合同展

【1年生・2017・5月】

ことらが僕たちのもとにきてから、新聞や街中でも発達障害とか自閉症ということばに
目が止まるようになりました。
ある日の新聞に職場の近くのギャラリーで発達障害の方の展覧会が開催されるという記事に
目が行き、早速見に行ってきました。


今回見に行ったのは3人の合同展だったのですが、3人それぞれがとても個性的で
自由に表現をしているのが印象的でした。
この絵の表現力を買われて、企業に就職が決まった方もいるとか。
たしかにその頃、雑貨の小売や卸をしていた自分は、この方たちの絵を使って商品を
作りたいなとも思いました。
どこから人の人生が開けていくのかわかりません。
ことらにも一度絵を自由に描かせてあげたいなと思い、この時の展覧会の主催であった
のむらアートクラブさんに早速問い合わせて、ことらも通うことにしました。

2019年2月8日金曜日

見守る覚悟と、待つ覚悟

【2年生・2019・2月】

昨日の話です。
ことらが学校の音楽の時間にカスタネットを使ったようなのですが、紐をほどいてバラバラに
解体してしまったそうです。そこでことらはマズイと思ったのか、ポケットに必死で
隠していたそうです。(笑)先生は隠しているのに気づいていましたが、知らないふりをして
「あれ?カスタネットは?」と聞くと申し訳なさそうな顔をして、でも出せないでいた
ので、「なくなっちゃったなぁ。探さなきゃ。」と探していると、ポケットからだして
「ごめんごめん」と言ったそうです。

一見、朗らかなやり取りですが、僕はことらの成長をとても感じ嬉しくなりました。
以前ならバラバラにしたカスタネットをバーっと放っておしまいです。
しっかりコミュニケーションになっているのには驚きです。

そして、先生の引き出す力がすごいなぁと思います。
もし、ここでバラバラにしていることらをみて、「ことくん、バラバラにしちゃダメだよ」
なんて声をかけてしまったら、そこでおしまいです。
その先にある成長を睨んで見守る力。簡単そうで難しいと思います。
ましてや子どもはことら一人じゃありませんし。
その後もことらから自発的に出てくるまで待つ。
この、「見守る」と「待つ」は簡単そうで大変な作業です。
どちらも覚悟がいります。
見守る覚悟と、待つ覚悟。日頃から意識はしていますが、あらためて感じました。

2019年2月5日火曜日

中部大学

【1年生・2017・4月】

数年ぶりに中部大学にやってきました。卒業以来です。
突然のアポ取りにも快く受けてくださった、作業療法の先生に会うためです。
僕が在学中にはなかった新しい校舎の中に作業療法科はありました。
先生は少し緊張した面持ちで訪ねた初対面の僕を、優しい笑顔で受け入れてくださいました。

初対面の挨拶を交わし、僕がなぜ放課後等デイサービスを始めようと思ったのかを
お話しました。ことらのことを中心に。
先生はいなざわ特別支援学校や上林のあおむしにもゆかりがあるそうで、話がいろいろ
繋がりました。
僕はあらかじめ考えていた質問を先生に投げかけました。
それを先生は一つ一つ丁寧に答えてくださいます。
その中でも特に印象に残っているのが、重度の子供と、軽度の子供は分けて預かったほうが良いのか?という質問をした時でした。(こどもにとっての影響とプログラム的な面で)
ことらはいわゆる重度の自閉症です。それが理由でやんわりデイの利用を断られることが
あったり、こちらからここのデイでは危険だなとか難しいなと思うことも何度かあったので。
先生はこうおっしゃいました。

基本的にわけなくても良い。何を基準に重度と軽度と区別するのかということ。
国の判定で重度判定でもいろいろできる子もいれば、軽度の判定でもなかなか
できないことが多い(やらない)子も多い。
大事なのは、今まで丁寧に育てられてきたかということと、こどもが伝えたいこと、
発していることを、きちんと受けとめてあげてきたかということ。
丁寧とは、むりやりに抑えつけたり、感情的に怒ったり、怒鳴ったりしないということ。
そうすると、子供は常に不安に怯え、安心できる場がなくなるため、歪んだ成長をする
ようになる。
歪んだ成長をすると、どんなに良い療育や教育をしてもなかなか入らなくなる。
また、きちんとしかることができているかということ。
きちんと叱るとは、本当にやってはいけないこと、危険なことの区別ができるように
しつけること。
カッとなって、怒ることではない。」

わかりやすい中にも愛情のあるお答えでした。
それに、障害の有無は関係なく子育ては同じだと感じました。
この丁寧に育てるというのは、今でも僕の中のテーマです。

最後に先生は実際の現場に入って、もっといろいろ見たほうが良いとおっしゃってくださり、
春日井の放課後等デイサービスの施設を紹介してくださいました。
そして、そちらの施設でスタッフ向けの研修や支援の現場に参加させていただけることに
なりました。
突然の一本の電話から始まったご縁ですが、先生は丁寧にそして親身に対応くださり、
自分にとってとても大切な出会いとなりました。

2019年2月4日月曜日

一宮手をつなぐ子らの教育展


昨日は一宮市の教育委員会と一宮市手をつなぐ親の会が主催で開催している
「一宮手をつなぐ子らの教育展」に出かけてきました。
昨年までは楽しみがわからないことらはすぐに帰りたいとか建物を探索したいと
なりました。
今年もさらっと会場を見た後に恒例の建物探索開始。
グルーっと一通り見て、なんとか会場に戻ってきました。
会場は5つくらいの展示室に別れていて、特別支援学校の作品は一つの展示室に
集まっています。まずはことらの作品が見たいので、特別支援学校の展示室に
入ったのですが、ことらはなぜか嫌がります。「ことくんの作品教えて」と
聞いても、「やーやー」と言って教えてくれません。。
あー今年もすぐ帰宅かぁと思ったのですが、実はことらは他の展示室の作品が
気になっていたようです。
まずは隣の展示室で作ってあった線路と列車を指さして「きしゃぽっぽ!」と
嬉しそうに教えてくれます。
次はレストランブースで作ってある食べ物を指差し「オムライス!」「カップケーキ」
と教えてくれます。
その後は一番奥の部屋に作ってあるものを教えてくれたり、その隣の部屋の体験作品
をいろいろ体験したりとすごく満喫しているではないですか。
最初のさらっと見で何があるかをチェックして、気になる建物を見た後はここで
遊ぼうと決めていたんですね。
こんなに楽しめたのは初めてでした。
こういったところにもことらの成長が垣間見えて嬉しいです。

その他にも、トレトレの子どもたちの作品を探すのが楽しくて、この子はこんな
作品作るんだ〜とか、こんなに絵が上手なんだ!と新しい発見もあり、すごく
楽しい展覧会でした。
それにこの短時間で知り合いに沢山会いました。久しぶりに会う方も多く、展覧会の
楽しみが増えました。
でも、結局ことらは特別支援学校ブースには連れてってくれませんでした。。


2019年2月2日土曜日

入学式

【1年生・2017・4月】

やってきました、ことらの入学式です。
いつもよりちょっとオシャレをします。
僕たちもちょっとオシャレをします。

僕もことらもちょっと緊張しながら学校に着くと、説明会でお会いした
先生が元気よく素敵な笑顔で挨拶してくれます。
この学校の先生はどこか安心感や余裕を感じます。
それが私たちにも安心感が生まれます。

入学式の入場はどちらかの親と入場して席に座ります。
この日のことらは僕を選択。神妙な面持ちながら堂々と入場できました。



おとなしく席に座りながらスタートした入学式ですが、案の定ことらは途中で
歩きまわりたくなります。初めは僕が必死で捕まえておりましたが、一番前の席で
目立つことらに先生がバトンタッチしてくれます。
初めて会う先生にバトンタッチして大丈夫だろうかと思いましたが、さすがです。
暴れることらを笑顔で放しません。
足で思いっきり引き剥がそうとすることらにも笑顔で放しません。
その姿に安心感が生まれます。

その後、先生方のご紹介でこんなに先生が沢山いるんだとびっくり!
お昼は全校生徒と先生が一斉に食堂で食べると聞いて、それも迫力あるなと思いました。
しかし、どの先生も明るく元気です。

入学式の後は各教室に戻って少しお話。
ことらの小学生生活がスタートしました。